.              中国での商標登録の必要性について

中国では下記に紹介するとおり、第三者による横取・先出願が横行しています。また、2009年より中国商標法が改正される予定であり、商標登録が無審査となる可能性があります(詳細は下記をご参照下さい)。中国への輸出や進出など中国でのビジネスをお考えであれば、迅速に検討段階で商標(商号や主力商品など)は登録しておく必要がありますので、是非ご一考下さい。


現行の中国商標制度の特徴について

 1) 1区分1出願

中国では日本のように1商標多区分出願は採用されておらず、1区分ごとに出願する必要があります。

 2) 専用権の放棄

出願商標の構成部に識別力のない部分(例えば、商品「金属部品」に対して商標「○○ metal parts」の「metal parts」の部分)がある場合であっても、専用権放棄(ディスクレーム若しくは権利不要求とも言います。)を行うことにより、出願商標全体としての登録を受けることが可能となります。

 3) 商標局

中国では商標登録のための「商標局」という独自の機関が存在し、特許庁ではなく商標局に出願します。

 4) 指定商品の具体的表示

中国では日本と異なり、包括的表示は認められておりません。(例えば、日本では第1類について「化学品」という表示が可能ですが、中国では「金属着色用塩、工業用クエン酸・・・」等具体的表示が必要です。)

 5) 出願から登録までの期間

中国での商標出願件数の増加に伴い審査期間が長期化しており、現在のところ2〜3年を要しています。また、拒絶理由が通知された場合、15日以内に商標評審委員会に再審を請求しなければならず、在外者にとって15日はかなり短い期間であり注意が必要です。(意見書については再審請求後3ヶ月以内に提出ができます。)

 6) マドリッドプロトコルを利用した出願も可能

もし、日本で登録若しくは出願商標をお持ちで中国以外の国へも出願登録をお考えでしたら、マドリッドプロトコル()の制度を利用すれば、各国の現地代理人費用を節約することができます。 

 ※     マドリッドプロトコルとは・・・

日本の登録若しくは出願商標を基礎として、登録を求める加盟国を指定してWIPO国際事務局に日本国特許庁を経由して国際出願し、WIPOが指定国にその出願を通知し、その指定国の官庁が1年(又は、各国宣言により18ヶ月)以内に拒絶理由を通告しない限り、その指定国において登録される制度です。従いまして、マドリッドプロトコルを利用することで、これまで各国個別の手続によらなければならなかった海外における商標権の取得が、複数の加盟国を指定するだけで一括して行うことができ、手続コストも低廉になります。(調査や中間手続については現地代理人費用がかかります。)


中国の商標法が改正されます!!(2009年予定)



中国商標法改正の要点(予定)

◇多区分出願が可能

現行では上記のとおり1区分1出願ですが、改正により多区分出願が可能となる予定です。これによって多区分の出願が1出願で済み出願コストが下がります。

◇オンライン出願

現行では紙出願であり出願番号が付与されるまで相当の期間を要しておりますが、改正によりオンライン出願が可能となる予定です。これによって出願番号が出願の翌日には付与されることになります。

◇無審査登録

現行では日本と同様、相対的拒絶理由(先願商標の有無)について実体審査が行われておりますが、改正によって無審査になる可能性があります。従って、多数の模倣商標が登録されるおそれがあります。また、現在、審査に2〜3年要しているところ、改正により出願より約12ヶ月で公告されることになります。

◇専用権の放棄

上記のとおり中国では専用権の放棄の制度があります。改正により商標中顕著性を欠く部分については、出願時に専用権を放棄する旨を表明しないと拒絶されます。

◇予備拒絶制度

絶対的拒絶理由(例えば商標中顕著性を欠く部分について専用権を放棄していない商標)を有する商標について、審査意見通知書が発行されます。これに対して1ヶ月以内に応答する必要があり、拒絶理由が解消されない場合は正式な拒絶理由が通知されます。


◇異議申立制度

上記のとおり無審査となるにあたり、登録後の異議申立制度が導入される予定です。異議申立期間は公告後4ヶ月であり、この期間に第三者により異議申立がなければ登録に至ります。また、登録に至った場合は登録通知が出され、登録証の発行は廃止される予定です。また、異議申立が成功した場合は敗訴者に申立にかかった費用(印紙代や代理人費用等)を請求することができますので、請求書や領収書を保存しておく必要があります。

 以上、2009年より商標登録が無審査になるという大きな改正が予定されており、ますます模倣商標の出願が増えることが予想されます。従いまして、中国におけるビジネスをお考えの方は検討段階での早期出願をおすすめ致します。また、登録後も普段からウォッチングや異議申立のための資料(中国における使用証明等)の収集が重要となります。

中国商標出願に必要なもの

 1) 商標(ロゴや図形の場合JPGファイル若しくは版下を弊所までお送り下さい)

 2) 指定商品(役務)・・・具体的にご教示下さい。
 
 3) 委任状・・・出願時に必要です。弊所よりお送りさせて頂きます。

 4) 出願人の中国語表記・・・おもちでなければご相談下さい。

弊所の事例

弊所では現在まで100件弱の中国商標の登録を行いました。

弊所クライアントにおいても、商標ブローカーに商標を詐取されていたり、現地取引先企業が中国等で無断で商標を出願登録していたというケースがありました。

このような場合に、相手方から商標を買い取るあるいは先願の商標をつぶす等の作業が必要です。商標を取消すためには被害にあった側が中国企業の悪意による登録や登録当時の中国での商標の著名性を立証しなければならず、特に著名性にあっては中国全土での著名性が必要となるため非常にその立証は困難であり、またかかる費用や時間や手間の問題からあきらめざるを得ないという結果も有りました。

上記のような立証の困難から、自社ブランドを維持するために商標ブローカーから商標権を高額で買い戻さざるを得ないということもあります。

従いまして、中国ビジネスをお考えであれば、迅速に商標登録しておくことをおすすめします。

<トピックス1

「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「クレヨンしんちゃん」・・・が中国企業に登録されています!!

 日本から中国に輸出され、北京や上海で販売されている新潟県産「コシヒカリ」と宮城県産「ひとめぼれ」について、中国で第三者により既にそれぞれの中国語表記「月光(コシヒカリ)」(別添資料;公報1)、「一目惚(ヒトメボレ)」(別添資料;公報2)が商標登録されてしまっています。全国農業協同組合(全農)が日本ブランド浸透を目指そうと中国で商標登録を行おうとしたところ、時すでに遅し・・・でした。ちなみに「秋田県産あきたこまち」についても、吉林省の企業が「秋田小町AKITAKOMACHI」(別添資料;公報3)を商標登録しています。また、日本の双葉社から出版、アニメ化もされている「クレヨンしんちゃん」に至っては、双葉社より先に中国企業が既にその中国語表記「蝋筆小新」(別添資料;公報4)を商標登録してしまっていたことは有名な話です。双葉社は「クレヨンしんちゃん」の中国語表記である「蝋筆小新」を台湾で商標登録し、その後アニメや漫画が出回りましたが、中国では商標登録していませんでした。その隙に、中国の企業が「蝋筆小新」を本土で商標登録してしまったのです。その後、商標登録した企業は別の企業に対して上記商標のライセンス契約を結び、クレヨンしんちゃんのキャラクターグッズが中国で出回るようになりました。本来の商標権者である双葉社とライセンス契約を結んだ会社が中国でクレヨンしんちゃんのグッズ販売をしたところ、上記商標権者に商標権侵害と訴えられ、商品を没収されてしまいました。

<トピックス2>

馳名商標(著名商標)の申請

 馳名商標とはいわゆる著名商標のことであり、中国では著名商標の認定制度があります。馳名商標と認められる(中国全土で著名であることを証明する必要あり)と、登録されていない商標であっても同一または類似の分類で他者の登録を排除でき、その効力は商標だけでなく商号やドメインネームにまで及び、一般の登録商標と比べ手厚い保護を受けることができます。

1996年の発足当時は、外国企業の馳名商標は認定されておりませんでしたが、中国がWTOに加盟した後の2003年の法改正により、外国企業でも商標の異議事件や取消し事件あるいは裁判の過程で申請手続が可能となりました。即ち、具体的係争が生じた場合に申請が可能となります。なお、馳名商標の申請は未登録商標であっても可能です。

申請の際には、中国での著名性を立証する資料の提出が必要です。この資料には、例えば、商標の使用期間を証明する資料、宣伝活動の期間・程度や宣伝広告費や販売量・販売額・マーケットシェア等を証明する資料などがあります。

馳名商標と認められた日本企業の商標には、例えば、日産自動車の「尼桑」「NISSAN」、YKKの「YKK」、ダイキン工業の「大金」「DAIKIN」など極めて少数です。(約800件の馳名商標中、日本企業の商標は10件程度です。)

前記のとおり、馳名商標の申請は具体的な係争事件が生じていることや中国全土での著名性が必要であり、外国企業にとっては非常に狭き門となっています。

Copyright 清原国際特許事務所 All Rights Reserved.