判例4

事件名

AT & T v. Microsoft事件

原告

AT & T

被告

Microsoft

事件概要

Microsoft社が、自社OSプログラムを米国外のコンピュータメーカに送信し、米国外のコンピュータメーカが当該OSプログラムをインストールしたコンピュータを米国外に販売していた。

この米国外で販売されたコンピュータは、AT & T社の特許発明に該当するものであり、AT & T社はMicrosoft社に対して特許権侵害の訴訟を提起した。

本事件において、米国特許法の間接侵害規定第271条(f)で用いられる「Component」との文言の解釈が争点となり、第271条(f)における「Component」に該当するためには、米国外へ供給される物の有体性が必要である旨が判事された。

特許権の内容

音声パターンを連続的な時間区画に分割し、区画化された音声パターンに応答し、各時間区画の音声パターンに対応する一組の信号を作り出す手段と、

前記区画化された音声パターンと前記区画化された音声パターンの代表信号に応じて、前記区画化された音声パターンと前記区画化された代表信号間の差異を表す信号を作り出す手段と、

前記区画化された音声パターンの信号と、前記差異を表す信号に応答し、区画化された音声パターンに対応する第1の区画化信号を作り出す手段と、

前記区画化された音声パターンを表す信号に応じて、第2の区画化信号を作り出す手段と、

前記第1の区画化信号と前記第2の区画化信号間の差異に応じて信号を作り出す手段と、

前記区画化された差異を表す信号に応じて第3の信号を作り出し、前記第2の区画化信号を変換し、前記差異を現す区画化信号を減少させる手段からなることを特徴とする音声プロセッサ。

原告の主張

Microsoft社の行為は、米国特許法第271条(f)に定められる侵害行為に該当する。

被告の主張

ソフトウェアは有体性を備えず、米国特許法第271条(f)にいう「Component」に該当せず、米国特許法第271条(f)に定められる侵害行為に当たらない。

コンピュータの製造に用いられたのは、Microsoft社が供給したマスターデータのコピーであるから、Microsoft社は、米国外に「Component」を供給していない。

地裁の判断

米国特許法第271条(f)の「Component」との文言は、有体物に限定されず適用される。

米国特許法第271条(f)の立法趣旨並びに通常行なわれるソフトウェアの頒布形態を鑑みれば、Microsoft社の行為は、「component」を「supply」する行為に該当する。

CAFCの判断

地裁の判断を支持

最高裁の判断

米国特許法第271条(f)の「Component」との文言は、有体物に限定される。

論評

最高裁判決の結果、米国特許法第271条(f)の適用に関して、有体物発明と無体物発明との間に大きな差異が生ずることとなった。この結果、ソフトウェア発明について、米国特許法第271条(f)の規定は適用されず、侵害回避のための抜け道ができたということができる。

日本においては、プログラムの発明は、物の発明に分類される旨が明文化されており、間接侵害規定でも、プログラム発明は有体性のある物の発明と区別されることなく適用される。

したがって、米国と日本国の間でも、侵害の成否の差異を生じさせる判決といえる。