模倣品対策
1.摸倣品とは
模倣品とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権或いは著作権などといった権利を侵害する製品を指します。
2.模倣品流通による被害
例えば、貴社が、ある商品を開発したとします。この商品の開発には、商品の技術開発を担当した技術者や商品デザインを担当したデザイナへの給与、商品技術開発並びに商品デザインに用いたコンピュータソフトウェア、試作品制作費、消費者調査などの費用が経費としてかかっています。
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貴社が、この商品を市場に流し、消費者や小売業者から好評を得ていました。市場への製品投入後、3ヶ月後、他社が市場に流通する貴社商品を真似して、模倣品を市場に投入してきました。
貴社は、商品開発に多額の費用をかけましたが、模倣品を流通させる他社は貴社商品に依拠して商品開発を行なっているので、貴社がかけた費用の数十分の一の費用で模倣品を流通させるに至っています。この結果、模倣品の商品価格は、商品製品よりもはるかに低く設定されています。
貴社製品販売から1年後、多くの消費者が値段の安い他社の模倣品を購入する状態となってしまいました。
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3.侵害の形態
侵害行為は、模倣品流通経路からみて、4つに大別できます。以下の侵害の形式いずれにも共通しますが、侵害者の行為を停止させる或いは侵害者の行為に起因して生じた損害を賠償させるためには、侵害者の行為の停止或いは損害の賠償を強制するための権利(特許権、実用新案権、意匠権、商標権或いは著作権)が必要となります。不正競争防止法に基づけば、これら法で定める権利を要せず、侵害者の行為の停止或いは損害の賠償を強制可能ですが、侵害行為の立証の容易さを考えれば、特許権、実用新案権、意匠権、商標権或いは著作権に基づき、権利を行使する方がよいと考えられます。
したがって、「模倣品対策の第1歩は、知的財産権の取得」であるといえます。
(1)国内流通型
(2)輸入型
(3)輸出型
(4)インターネット流通型
4.国内流通型侵害の模倣品対策
国内流通型の侵害行為とは、日本国内で模倣品が製造され、日本国内で模倣品が流通している態様をいいます。このタイプの侵害行為に対しては、「警告書の送付」が模倣品対策の第1歩となります。警告書の送付によって、侵害者が侵害行為を停止すれば、模倣品流通対策の費用は、訴訟提起などと比して、非常に低廉に済みます。侵害者に悪意がない場合には、警告書送付により侵害行為を停止する可能性も高く、また、侵害行為開始後、時間が経過していない場合には、侵害者側も侵害行為に費やした費用・時間も少ないため、警告書の送付によって侵害行為を停止する確率は高いと考えられます。
(国内流通型侵害に対する模倣品対策フローチャート)
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5.輸入型侵害の模倣品対策
輸入型の侵害行為とは、海外で模倣品が製造され、日本国内で模倣品が流通している態様をいいます。このタイプの侵害行為は、近年多く見受けられる形態です。
このタイプの侵害行為に対しては、いくつかのアプローチがあります。その1つとして、日本国内の輸入元への「警告書の送付」を挙げることができます。
他の方法として、海外の輸出元に対する措置を挙げることができます。海外の輸出元に対する措置を講ずるためには、輸出元が存在する国に知的財産権を有している必要があります。したがって、貴社製品について日本国内の知的財産権獲得を考えるときに、併せて、貴社製品の模倣品を製造する可能性が高いと予測される国で知的財産権を取得することを考えたほうがよいと思われます。
更に別の方法として、税関への「輸入差止申し立て手続」を挙げることができます。国土が広い国(例えば、中華人民共和国)に模倣品製造元が存する場合、製造元の具体的な住所を特定することが困難なことが多く存在します。このようなときに、税関への輸入差止申し立て手続は有効な手段となります。尚、登録商標のデッドコピーを付した商品に対して措置を講ずる場合、鑑定書を要することなく、税関への輸入差止申し立て手続を行なうことができます。したがって、知的財産権の中でも商標権は、模倣品対策に対しては利便性の高い権利ということができます。
(警告書送付までのフローチャート)
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(輸入型侵害行為に対する模倣品対策のフローチャート)
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6.輸出型侵害の模倣品対策
輸入型の侵害行為とは、日本国内で模倣品が製造され、日本国から海外に模倣品が輸出され、海外における貴社製品のマーケットに損害を与えている態様をいいます。
特許法、実用新案法、意匠法及び商標法の改正により、輸出行為も実施の一態様となりました。したがって、輸出型侵害行為に対しては、国内流通型侵害と同様のアプローチで模倣品対策を行なうことができます。
7.インターネット流通型
インターネット流通型の侵害行為とは、貴社製品の模倣品がインターネットを通じて販売されている侵害態様をいいます。このタイプの侵害行為への対策として最も難しい点が、インターネット特有の匿名性にあり、侵害者の特定が困難であったり、警告書送付直後に侵害者が名前を変えて再度模倣品を出品したりすることも多いです。
このタイプの侵害行為に対しては、インターネットプロバイダが用意する知的財産権保護のプログラムの利用及び侵害者への警告書の送付の両方を行う方がよいと考えられます。更に、模倣品が海外から輸入されている場合には、税関への輸入差止手続が非常に有効な手段となると考えられます。
8.輸入差止申立手続
近年、海外から日本国へ流入する模倣品による被害が拡大傾向にあります。特に、インターネットを媒体とする商品取引の普及により、模倣品の流通が容易に行なわれるようになっています。インターネットによる商品流通では、模倣品を流通させている者の特定が他の流通形態と比して困難です。
税関に対しての輸入差止申立は、拡大化している模倣品被害の抑止に有効な手段であると考えられます。なぜなら、日本国内への模倣品の流入を水際で止めることができるとともに、海外に存在する模倣品輸出者或いは模倣品製造元を特定できなくとも、貴社が製造する真正品と模倣品との間の差異が識別できれば、輸入の差止が可能であるからです。したがって、税関への輸入差止申立手続は、模倣品流通を担う者の特定を要する他の手段と比して、簡便且つ実効性のある措置であるということができます。
特に、貴社が保有する登録商標と同一の商標を付した模倣品が日本国内へ輸入されている場合には、専門化による鑑定書を要することなく、輸入差止申立手続を行なうことが可能です。したがって、輸入差止申立を行なう際には、商標権は使い勝手のよい知的財産権ということができます。よって、貴社商品の模倣品が海外から輸入されている場合或いは貴社商品の模倣品の海外からの輸入が予測される場合には、貴社商品に係る商標権の取得を考えることが望ましいと考えられます。